くじら

ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命のくじらのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

 第二次大戦中のポーランドに興味があって見た。役者さんの演技が上手いし作品に力が入ってると思った。ダニエル・ブリュールはSS役。

あらすじ
 ポーランドにある動物園は園長のヤンと妻のアントニーナがともに運営していた。第二次大戦が起き、爆撃によって逃げ出した動物たちを殺されたり、他の動物園へ移送させられたことで運営できなくなる。また、友人のユダヤ人たちも命の危険に晒されるようになった。
 ユダヤ人たちを逃すことを決意し、動物園を養豚場にして、ゲットーからの生ゴミを回収し、一緒にユダヤ人を逃すことに。ドイツ兵に襲われた少女を連れて帰り、アントニーナの言葉やウサギ、絵を通して次第に心を開いていく。ユダヤ人何人かを床下に匿い、昼は静かに、夜に安全になったらピアノの音で合図して集まる暮らし。すぐに移る人もいれば長い間一緒に過ごす人もいた。
 疑われたり、知り合いのSSがアントニーナに手を出そうとしたり夫婦の仲もあれこれあった。
 有名なワルシャワ蜂起によって負傷したヤンが捕まり、その情報を求めてアントニーナが知り合いのSSの元へ行くが色々バレかけてしまい、急いで戻り床下の人々を逃す。バレたものの、SSはドイツに帰るところだしもうユダヤ人たちも居ないのでアントニーナと息子は無事だった。
 その後ヤンとアントニーナと子どもたちは再会する。
 夫婦は300人近いユダヤ人たちの逃亡を手助けし、亡くなったのは母娘の2人だけだったそう。

感想
 ワルシャワ蜂起を描いた映画を見た後に見たので、ワルシャワ蜂起のシーンに辿り着くまでにこんなに色々あったのかと思った。
 アントニーナが第二次大戦が始まる前に逃げるような暮らしを息子にさせたくないと言っていたり、あの女の子に自分が逃げながら生きていたことを話していたのは繋がっていると思うけど、歴史に疎くて何のことか分からなかった。
 ユダヤ人を救うために、個人が立ち上がったのがすごいと思った。映画では生ゴミに紛れたり何人かずつを密かに連れてきて、トラックに隠れられる人数だけ逃したり、女性はアントニーナの親族のフリをさせて逃したり、ヤンの助手として逃したり、小規模な人海戦術で300人も逃したのはすごいと思った。
 この映画ではヤンとアントニーナのすれ違いも描いていた。静かな映画の中で感情の揺れ動きとして必要だったのかなとは思う。また外に出て実際にユダヤ人を連れ出す危険に直接晒されているヤンと、外の情報は知らないが長時間家で気が抜けず常に警戒しつつご機嫌取りをしなければならないアントニーナの違いもあるのかなと思った。ヤンが蜂起に参加した経緯はどうだったのかなと思う。
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