木葉

菊とギロチンの木葉のレビュー・感想・評価

菊とギロチン(2016年製作の映画)
3.8
菊とギロチンとは、女相撲とアナーキスト集団。戦争に押しつぶされそうになる時代、それに刃向かい強い精神で時代を突破しようとする若者たちが今にダブる。今は政府や国家に立ち向かおうとする人たちはいないけど、閉塞の強い時代に、それは希望になるのだ。戦争に向かおうとすること自体に、戦争が身を滅ぼし、国の破滅に導くことに少しでも早く気付かなければならない。
3時間10分は長過ぎるかもしれない、けれど、大正末期という自由や平等のない時代に、不屈の精神と滾る肉体で国家権力という闇に立ち向かい戦った人たちの姿に本意気や魂を感じるし、深く胸を揺さぶられる。
実在する大正末期のアナーキストと女相撲の力士たちが映画では手を取り合う。
アナーキズムとは国家や権力を必要でない、望ましくないと考え、調和的社会結合を目指す政治思想で、アナーキストのことは無秩序無政府主義者で、しばしば極左と捉えられやすい。
アナーキストは平等を求め度々、富裕層を脅し金を巻き上げ、自由を奪う警察を襲おうとする。その行動は行き当たりバッタリで、ヤキモキする。
女相撲の力士たちは家族や束縛から逃げただ強く一人でも生きていけるようになりたいと、その一寸たりともブレない芯の強さに叱咤される。
彼らが今の時代を見たら、どう思うのだろうか。国や政府の思い通りに動かしている日本を見たら、どう思うのだろうか。長いものに巻かれない強さや、強者に立ち向かう勇気や閉塞を打破しようとする根気があったら、少しは光が射すのではないだろうか。
木葉

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