YasujiOshiba

Victory March(英題)のYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

Victory March(英題)(1976年製作の映画)
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カトリック寄宿舎生活を辛辣に描きながら批判してゆく「父の名において」(Nel nome del padre)と同じく、父権主義的なインスティチューションとしての軍隊における兵舎のモラルをえぐりだす作品。どちらも、この時代に立ち上がってきた脱制度化 deistituzionalizzazione の流れのなかにある映画と考えてもよいのだろう。イタリアだけじゃなくて国際的なヒットというから、おそらく兵役のある国では受け入れる土壌ができていたのだ。

それにしても、反抗しようとすればするほど叩き潰され、それでもいつの間にか、父性的なものに服従してゆくミケーレ・プラチドとフランコ・ネロの関係が、なんともコミカルかつ悲劇的。そんな擬似親子の間に入るのがミウ=ミウだけど、彼女はフランスとの共同制作とのことで使わざる得なかったなんてことをベロッキオがインタビューで語っていた。たしかにベロッキオ好みの瞳ではないかもしれないけれど、なんだか70年代の雰囲気をプンプンさせているところに個人的には好感。
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