このレビューはネタバレを含みます
田舎の閉塞感、呪われし地縁社会、無理解な親、村社会滅びろ! みたいな映画。原題は『浮遊機雷』。おばあちゃんのことかな。なーにが『あしたのパスタはアルデンテ』じゃい。
アントーニオのカミングアウト以降はずっとイライラしながら鑑賞。むしろイライラを通りこして悲しくなったし泣きたくなった。なんでこんなに気に障る人ばっかり出てくるんだ……。
長男が家のために犠牲になって、ローマに進学し自由だったはずの次男にしわ寄せがきて、結局どっちかが工場を継ぐために田舎に残らなくちゃいけない……みたいになって兄弟喧嘩するシーンは、世界はどこも同じなんだな……という気持ちになってつらかった。あとお父さんの「町中が笑ってる!」と被害妄想になるシーンは狂気を感じた。
あとオチのつけ方も酷かった。過去に義理の弟ニコラへの叶わなかった愛を抱え、物語のなかで一番理解がある風に描かれていたおばあちゃん。そのおばあちゃんの死によってふたたびまとまり始める家族……というなんの捻りもなく凡庸な結末。お年寄りが死ねば話がきれいにまとまるとでも思っているのか? ふざけんな。
ただ冒頭のウェディングドレスを着たおばあちゃんの回想シーンと、おばあちゃんがニコラへの変わらぬ愛を語るシーンと、糖尿病のおばあちゃんが化粧をし着飾ってケーキを食べまくるシーンは美しかった。"50 MILA"の歌も好き。あとおばあちゃんの若い頃と今の女優さんが似ていた。
って結局おばあちゃんの話ばっかりじゃねーか!