李

ウインド・リバーの李のレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.8
2022年最後の1本

「あなたの瞳が遠く現実に凍えそうな時、私はここに戻って目を閉じ、あなたを知った喜びで生き返るの」

極寒の銀世界と閉鎖されたコミュニティ、実際に今も起きているかもしれない出来事、、事件の陰惨さ、登場人物たちの心の痛み、悔しさやりきれなさが静かに描かれた良作。後半涙が勝手に… 真相の惨さに心が苦しかったのはもちろんそうなんだけど、その惨さに負けないくらい強かった彼女の姿。死のその瞬間まで走ることをやめなかった。上手く言葉に表せられないんだけど、このいつでも希望を手放せる状況の中での強さが、闇に結果的に飲み込まれてしまったとしても存在していたという事実が、不適切な気もするけれど美しくて、「10kmも走った」「彼女は強い女性だ」って言葉で私は駄目だった。"強い女性"の強いって色々種類があるけれど、この映画で使われているこの言葉が、この言葉の意味の中でも1番美しく、もしかしたら贈られる言葉の中で1番崇高なものの気がした。ジェレミー・レナーは、多くを語らないけど人間らしい温かみを感じられる役がぴったりで好き。コリーがジェレミーで良かった。
李