ちゃそ

ウインド・リバーのちゃそのネタバレレビュー・内容・結末

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

先住民への迫害に関する実話をベースに、1人の女性の死をめぐる「父親」の物語。ネイティブアメリカンの女性の「失踪」に対する問題を社会に提示し、再度考えさせるきっかけを与えてくれる。死因は他殺でなければならない。しかし、その寒さゆえ、「他殺」扱いができず、捜査が打ち切られてしまうことも多いのであろう。そして、コリーもまた、その経験者の1人であるだろうし、だからこそ自らの手で「罰を与える」という判断を迷うことなく選んだに違いない。
寒さと孤独のみの地。その他の全ては奪われる。それに起因する絶望に苛まれ、狂い、手に染める犯罪。しかしそれはまた、誰かから大切なものを奪う行為に他ならない。

その地において、運なんてものはないという言葉がとても印象的であった。生き残るか、諦めるか。諦めずにもがき続けることで生きることができる。
極寒の地において、少しの距離を走るだけで肺が凍結し、死に至る。そんな中で僅かな希望を捨てずに長い距離を走り続けたことを冒頭に「強い女の子」と表現したコリー。私たちは初めはその意味がわからないが、徐々に被害者の女性の強さを実感するようになる。そしてその無念の最後に想いを馳せざるをえない。冒頭のシーン、そして紹介される詩が頭から離れない。
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