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ウインド・リバーのvioletのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
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目には目を 歯には歯を

舞台はワイオミング州に位置する先住民保留地ウインドリバー。 雪山で見つかった少女の死体を巡り、現地の狩人と新人FBI捜査官が中心となって真相を解き明かしていくサスペンスドラマ。

実話を基にした映画だというだけで恐ろしいのに、こういう実話が先住民の居住地では"頻りに"起こっているという。本作は、先住民女性の失踪および殺人事件を認知させるための運動 "Missing and Murdered Indigenous Women(MMIW)" の活動を広めるという目的のもと作られたのだそう。

ネイティブアメリカンへの差別と迫害は、数百年前の植民地時代から、今もなお続いている。虐殺され、駆逐され、土地を奪われる過程の中で、人口は激減していった。かろうじて現在も先住民の血を引く者として残っているのは、米国全人口のうち約3パーセント。


‐ 先住民保護区に潜む深い闇。
保護区内には独自の警察がいるものの、原則として先住民以外を訴追できない(ヤバくないか?)だからジェーンは検死医に他殺と断定するように懇願したのだ。司法が物理的に機能せず、FBIとの連携も不十分な保護区は、人身売買や麻薬取引にも悪用されているらしい。その中で犠牲になるのはやはり、幼い少女を含む女性である。

失踪者の数が不明というのが何よりもおぞましい。
もはや先住民保護区は無法地帯と化している。"保護区"と謳いながら、まったくもって保護できていないという現状に、アメリカは国としてもっと真剣に向き合わないといけないと思う。ネイティブアメリカンへの差別心や偏見を取り除く教育を増やすべきだし、保護区における警察の在り方はいち早く見直されるべき。
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