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ウインド・リバーのmimotoxmimotoのネタバレレビュー・内容・結末

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

マイナス20度以下の極寒の夜に、雪の中を裸足で走り、肺胞が凍結して破裂、血が肺の中に溢れて窒息した少女の遺体。

最初のシークエンスで描かれる少女の死に「なんて酷い死に方……」とその凄惨さに眉をひそめる。何かから必死で逃げるために雪の中を裸足で走って死ぬなんて、あまりにもつらすぎる。

しかし、エリザベス・オルセン演じるFBI捜査官のジェーン(フロリダ出身、ベガスの出張から薄着でネイティブ・アメリカンの雪深いこの保留地にやってきた)とともに、感覚すら喪失する冷たさが爪先から全身に這いあがってくるように、わたしはじわじわと真実を知っていく。
この保留地は、雪と静寂以外全て奪われていること。この保留地で生きていくということ。そして少女の死の真相。
最初に感じた凄惨さなんてフェイクだと、喉元に冷たい銃口を突きつけられる。

少女は、生きるために、10キロも、マイナス20度以下の暗い雪の中を、裸足で、たった一人、ただ生きのびるために、10キロも走ったのだ。

終盤、ジェーンが「雪の中を10キロも走ったの?」と嗚咽を漏らすとき、わたしも嗚咽を漏らさずにいられなかった。わかっていなかった。わかるはずなかった。生きるために裸足で極寒の中を10キロも走った少女の最期を。

語られないものを使命感を持って描く、テイラー・シェリダン、あなたが好きだ。今後も脚本と監督どちらでも活躍してほしい。


ジェレミー・レナーはめっちゃくちゃかっこよかった。最後の仕打ち、ありがとうしかなかった。

何もない土地で、特にやることもなくて、孤独を感じてた? それでレイプしちゃった?
死ねよ!!!!!!!!!!!!
永遠に恐怖に追われて肺胞が凍結して破裂して血が溢れて死につづけろ!!!!!!

ネイティブ・アメリカンの少女の失踪者数の統計はないそうだ。興味を持たれてないからね。
これは日本が抱える問題も一緒だよね。
例えば、日本の性犯罪数は信じるに値しない数字だよね。興味を持たれてないからね。

語られない語るべき問題を、語ろうじゃないか。
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