もりぞー

ウインド・リバーのもりぞーのレビュー・感想・評価

ウインド・リバー(2017年製作の映画)
3.8
「ウィンド・リバー」を観た。
ジェレミー・レナ―があまり好きではないのがけれど、
この作品の彼はなんか良かったですね。
映画冒頭近くで、アメリカの国旗が逆さに掲げられていますが、
ポール・ハギスの「告発のとき」とは別の意味なのでしょう。
「告発のとき」では確か間違えて逆さに掲げていて、アメリカの国旗を逆さに掲げるとSOSの意味になると映画の中で言っていたと記憶しています。そのことが映画の内容を象徴していました。
「ウィンド・リバー」ではこの土地で暮らすネイティブアメリカンのアメリカに対する不満や苛立ちを表していると思われます。
さらにこの土地の環境が、住んでいる人たちに閉塞感を与え、暗く生活にのしかかっている様子が丁寧に描かれています。そんな街で起こる事件は、陰鬱にならざるを得ません。しかし全体に漂う雰囲気は暗いのに、画面は常に真っ白で無垢なイメージで観る人の気持ちを不安定にします。殺人が起こっても、行方不明者が出ても不思議ではない環境で、殺人が起こっても、行方不明者が出ても本気で調査がされない見放された土地。
面白い要素が見当たらないのに、なぜか惹きつけられる不思議な映画でした。
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