せりな

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのせりなのレビュー・感想・評価

4.0
ゲゲン先生みたいな人と出会いたかった!

実話ベースのお話しで当事者スタッフ&キャストとして参加しています。所謂落ちこぼれクラスの担任で歴史の先生と生徒たちの話しで、学ぶことの楽しさ、面白さを感じてもらう為に文科系コンクールに参加する事になります。

貧困層が多く住む地域の高校で人種や宗教も様々な生徒たちです。
授業態度も良くなくて学校側からも落ちこぼれクラスと言われてても担任のゲゲン先生だけは見捨てたりせず、生徒一人ひとりをちゃんと見ていてちゃんと授業に興味が持てる様に教えてる姿が印象的でした。他の先生の言うことは聞かないけど、ゲゲン先生の授業はちゃんと静かに受けてて先生との信頼関係がちゃんと築ければこんなに違うんだね。

先生が身内の不幸で暫くお休みしたらまた、クラスが荒れてしまったのをきっかけに仕事に復帰した時にコンクールの話しを生徒に持ちかけます。
最初は自分たちは無理だって良い反応は見せて無かったけど、放課後集まる様になって次第にやる気を出してくるんだけど、先生の誘導の仕方が上手い!
一から全部説明したんじゃ考える力がつかないから、問題が起こった時に生徒たちが自分で行動する様にしてて教育ってこういう事なんだなと思った。

ホロコーストの生き残りの方の話しを実際に聞いて、自分と同じくらいの子やもっと小さい子がどんな状況にあったのかを知って彼らもどんどん変わっていってラストに繋がっていきます。

ホロコーストの話は生徒たちと一緒に泣きながら聞いてました。
生き証人の人から話しを聞けると言う事は、悲惨な出来事はつい最近あった事なんだと改めて実感すると同時に恐ろしくもあった。
同じ事を繰り返さない為に、歴史を語る人がいて、強制収容についてのコンクールがあるのだと思います。

戦時下のフランス政権であるヴィシー政権がフランスの国民的理念を自由、平等、友愛から労働、家族、祖国に置き換えられたというエピソードが出てきて今の日本の政権が同じような事を言ってなかった??と思った。この理念だと国の為に働き、国を愛し、個人の自由ではなく家族の規律を守れと言う事で簡単に言えば国の為に生きろって事で個人の自由は尊重されない。日本にとって今が戦前になるかもしれないって言葉をホロコーストの生き残りの方の話しから思い出すとは思わなかった。

子供達の成長物語としても凄く面白いし、コンクールのテーマが強制収容についてだから戦争の悲惨さについても考えられる社会派の映画としてとても良い作品だと思います。

あと、純粋にゲゲン先生の授業を受けてみたいと思えます。
ただ教科書を読むだけじゃなくて、どうしてこういう事が起きたのかとか残された歴史遺産にどういった意図があるのかを感心を引く様に説明してて絶対にこの授業は楽しいだろうなと思いました。

日本で広島の原爆ドームの展示を子供たちがトラウマになるから一部取り下げるなんて話があるけど、劇中の子たちみたい戦争の悲惨さについてはもっと知っていく方がいいと思うな。体験してなくても悲惨さを理解していれば、戦争はNoって思えるだろうし。
とにかく、戦争と今の日本の状況については見ながら色々と考えちゃいました。

こういう系統の作品が好きな人にはオススメです。
せりな

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