ノラネコの呑んで観るシネマ

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.6
素晴らしい。
人種も宗教も様々な生徒たちが集う、フランスの公立校。
落ちこぼれだらけの荒れたクラスを受け持つ事になった担任教師の、「ホロコーストの歴史研究コンクール」へ参加しようという提案が、バラバラだった生徒たちを変えてゆく。
クラスにはムスリムが多くユダヤ人は少ない。
信仰へのスタンスも千差万別。
彼らにとって、ホロコーストの歴史を学び、考えることは、他人を理解する寛容を育むことでもある。
絶滅収容所の生存者(本人)の言葉に、彼らが流す涙は演技ではないだろう。
映画は半分ドキュメンタリーのように客観性を保ち、観客は生徒の一人になった感覚で物語を体験する。
劇中で映画作家志望の少年マリックを演じるアハメット・ドゥラメは、本作の脚本家。
彼は実際にこの教室にいて、自身の体験を綴ったという。
なんと素晴らしい啓蒙の連鎖だろうか。
冒頭、本筋と直接関係ないあるエピソードが描かれるが、作中でその後どうなったのかは描かれない。
これは観客に対する作り手からの宿題なのかも。
本作を観てそれぞれの解は見つかるのだろうか。
ブログ記事:
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