ドック隊長

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのドック隊長のレビュー・感想・評価

4.6
「教育とは、勇気と愛情を込めて諭し導くことである」…そんな思いがひしひしと伝わってくる実話に基いた映画。

教師生活二十年のベテラン、ゲゲン先生が担任になったクラスは、コンプレックスの固まりぞろいの高校一年生。服装の決まりは守らない、スマホを見たり、ヘッドホンをかけたまま授業を受けようとする…。

まさに「学級崩壊」のクラスを、ゲゲン先生は愛情と熱意を持って接し、クラス一丸となり「学ぶことの楽しさ」に目覚めさせる。
ほとんどの部分に丁寧語の「sirububure」をつけて生徒に接するゲゲン先生の凛とした態度と、時を追うごとに輝きを増していく生徒たちの真剣な瞳を捉えたカメラワーク、格調高いピアノのBGMも良い。

生徒たちが変わるキッカケになったのは、ナチスによるユダヤ人迫害の体験談を学んだからではあるが、そこまでにクラスをまとめあげた「愛情」には、映画とは思えない真に迫るものがあった。

人種の違い、宗教の違いを越えて、互いをリスペクトして未来を作っていくこと、まさに「奇跡」を体現したこの映画をたくさんの人に見てもらいたい。
ドック隊長

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