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奇跡の教室 受け継ぐ者たちへのKKのレビュー・感想・評価

4.0
アウシュヴィッツ収容所

日本の学校では、こんな風に意見が活発に飛び交う文化はない。教師が何か意見はある?と聞いても、みんなして黙る。

日本では、戦争の事実は学んでも、そこから考えたことを話し合う機会はとても少ない。
そして、彼らとの1番の違いは彼らは、自分たちが知りたくて学んでいる。
日本の学校、少なくとも自分の学校では、「学ばさせられてる」という思いが強かった。
自分も中学生の頃、広島へ行き、原爆ドーム、被害者の写真、当時生きた方の話も聞くことができた。その時は、自分なりに深く考えた。
だけど、彼らほど深く、そして自発的に学ぶことが出来ていたとは思えない。正しい方向へ導いてくれるゲゲン先生に教えられた生徒たちが羨ましい。


そしてなによりも、落ちこぼれで、荒れていたクラスの生徒たちだったからこそ、大きな成果を得ることが出来た。
彼らは、自分中心、感情的、人の気持ちは考えず、悪口、差別、暴力に走る。しかし、落ちこぼれのレッテルを貼られたことによる自信のなさがそれらに繋がっていた。ゲゲン先生の指導は、生徒たちを信じ、自信を与えながら、自分の気持ちを考えさせ、人に伝えること。
アウシュヴィッツ収容所の子供たちについて知ることで、
自分がそれまでやってきたことが酷くちっぽけなことに感じたんではないか。
人を傷つけることはいじめでも暴力でも、 大虐殺を起こしたナチスと何ら変わらない。

歴史を学ぶにつれて、歴史だけでなく、人との関わり方も学んでいく。悪ガキが改心してコンクールで優勝って物語としては出来すぎだけど、実話という事実が大きな説得力がある。

今まで一言も喋らなかったテオ、
超絶可愛いが気が強く、トゲのあるメラニー。
2人の成長が1番グッときた。
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