アキヒロ

帝一の國のアキヒロのレビュー・感想・評価

帝一の國(2017年製作の映画)
3.7
「政治は、流血を伴わぬ戦争である」

政治をコメディにするって着眼点がいい。
「仮想切腹」は笑ったし、永野芽郁のドア破壊キックw
現日本政治を皮肉るという役目も果たしている。

「埋蔵金」をうそぶいたり、業者替えをチラつかせてキックバックを得るとか、「政治の暗黒面」そのもの。
そして、現内閣をあざけるかのような男性優位社会(ホモソーシャル)。

しかも、完全にコメディに振ってるわけではなく、
中盤からの氷室ローランドの派閥を抜けた弾と帝一が森園派につき、
投票をひっくり返すという頭脳戦に導かれるのが面白い。
浮動票と本田票を森園票に流すこと、それからの巻き返しが面白かった。
マイムマイムのような原始的な作戦は案外効くかもしれない。

「帝一の國」とは、帝一が海帝高校を支配した独裁国家のことを指すのかと思っていたが、
実は「帝一が好きにピアノが弾ける国」という、意外にも自由な社会を夢見ていたことが後に分かる。
エリート戦国時代を体現した作品だが、その「一番になるためには手段を選ばない」と言っていた帝一が自分の自由のために戦っていたというのは面白い。
(と、思わせておいて……)
最後の菊馬の「ラインまたぎ」を目撃し、弾に「負けたのではなく勝たせてやった」という構図にもっていったのは驚かされた。
ラストシーンの「マリオネット」を弾き、
「君たちのことだよ」
とのたまう帝一の姦計。ゾクっとした。
やはり彼の目指す「国」とは、「意のままに操れる民衆」を手玉にとる独裁国家なのかもしれない…

総じて面白い映画だったけど、
ただひとつ見ていてツラかったのが、真面目な演技をしている役者(竹内涼真)と、おふざけに全振りしている役者(野村周平)の振れ幅があまりに大きすぎて、どっちつかずな印象が強かった。
(最後の投票シーンで氷室の「靴でも舐めますから」はさすがに失笑した)

和太鼓シーンは案外、野村周平が良い体でワロタw
太腿見せてる男はほぼ脱毛してたが、竹内涼真だけ腿脱毛してなくて逆によかった。
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