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雨女のdm10foreverのレビュー・感想・評価

雨女(2016年製作の映画)
3.3
【もうひとこえ!】

これはですね・・・言うほど悪くはないんですよ。そもそも実験的なものですので、他の「映画」と同じ土俵で評価をする事自体、この作品にとっては不利なんだと思います。
そもそも清水崇監督が4DX専用のホラー作品を作るという時点で、妙な胸騒ぎがしたのを覚えています。実はそれって「良くも悪くも」だったんですが・・・。
今でこそ世界的にもジャンルとして確立されている「Jホラー(ジャパニーズホラー)」の第一人者として名前が上がるほど清水監督の作る作品は「怖い」です。ストーリーや構成云々以上に「スクリーンで怖がらせる手法」を知っている監督です。ただ単に「バーン!!」「ワァ~~!」「キャ~~!!」は誰でも出来るんですよね。ある意味それをわかってホラーを観てますから。でもそこで「じらし」だったり、「ずらし」だったりが効果的に使われることで、期待通りに進まない、一種の「不快感」を感じさせることが出来ます。その辺をバランスよく織り込むことで、現実世界とは違う不快な異世界を垣間見る「恐怖」が沸きあがるのです。呪怨なんかもそうでしたが「来る」とわかっているタイミングにはあえて出さずに「半テンポ遅く」出したり、逆に「半テンポ早く」出すという「じらし・ずらし」が上手く使われた作品は、やっぱり記憶に残るよね。それが出来る監督なだけに、期待値は観る前から高かったのよ。

ただね・・・。まず大前提として、現時点で4DXとホラー(特にJホラー)の相性が良いのかという点ですが、僕は「時期尚早」だと思います。ダメではないんです。まだ早いんです。これがハリウッド映画のような「ジェットコースタームービー」や「ポップコーンムービー」なら逆にいけると思います。温度で表現するなら灼熱のように熱いくらい動いて騒いで・・という洋画に比べてJホラーは芯まで凍りつくような静寂(静)を基調としています。そのため、ストーリー自体も琴線に触れるような静かでデリケートな作品が良作とされる傾向もあります。そういった「静」の映画に対して4DXという「動」の仕掛けをどのように融合させるのか?
この作品の前に『ボクソールライドショウ』というホラーも公開されましたが、あれは逆にハリウッド的というか「動」がメインの作品なので違和感はなかったかもしれないのですが、ことさら今作で4DXが効果的だったかというと「う~~ん・・・」とならざるを得ないんです。時間も45分くらいで短かったため、ストーリーとしても深みがなく、いろんな意味で「6~7割」という作品でした。

ただ、ジャンルとしてこの評価が妥当だとはおもっていません。今はまだ波長が合っていないだけだと思っているからです。「Jホラー×4DX」という図式が成立したらJホラーの見方は根本的に変わるでしょうね。
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