horahuki

4Dマンのhorahukiのレビュー・感想・評価

4Dマン(1956年製作の映画)
3.4
4Dの衝撃!!

ラストを「END“?”」で締めることに謎のこだわりを見せるイヤワースJr.監督によるSFホラー。4Dマンなんてスーパーヒーローみたいなネーミングですが、ひょんなことで壁を通り抜けられるようになったオッサンのお話でした。

研究所でコッソリやってた実験のせいで研究所を全焼させてしまってトニーくん。他の研究所の責任者をしてるスコット兄ちゃんのとこで雇ってもらうことに。実はトニーくんは金属に鉛筆を通す実験をしていた。過去に一度成功したのだが、それから再現が全くできない。でもスコット兄ちゃんが試しにやって見ると何と成功!そして装置を使わずとも物質を通り抜けられるようになったスコット兄ちゃんは…。

自分の研究の功績を所長に奪われていたスコット兄ちゃんは鬱憤が溜まってたもんだから、すり抜けスキルを活かして遊びまくるわけです。人のポストに手を突っ込んで手紙取ったり、リンゴ盗んだり、ショーケースの中の宝石に手をかけたり、そして銀行強盗まで(笑)ちょっと前まで超ストイックに研究してたのに…。いや〜人って堕ちるもんですね。

「あれ?物体を好き放題すり抜けられるって無敵じゃね??」とか思ってたスコットくんですが、案の定この能力には落とし穴が…てなわけで、ヴァーホーベン監督の『インビジブル』のように能力を持ったが故に湧き上がる全能感的な利己心に彼の心が絡め取られていく…。というか能力が違うだけで『インビジブル』とかなり似てるような気がするので、ヴァーホーベンはこれを参考にしたのかな。それか見てないからわからないけどジェームズホエールの『透明人間』がそんな話なのかな。

人間が物体をすり抜ける特殊効果は良く出来ているし、通り抜ける時に薄っすらと人間の周りに膜みたいなのが出来るんだけど、それすらも味になってる。ただムーディなジャズっぽい曲が至る所で使われてるんだけど、楽しいシーンでも悲劇的なシーンでも全然気にすることなく「とりあえず流しとけ!」的な感じで流れるもんだから合ってなくて笑った。

これでフィルマに登録されてるイヤワースJr.監督の「END“?”」3部作制覇できましたが、これが一番「END“?”」にキレがなかったですね。やっぱり『マックイーンの絶対の危機』が一番良かった。リメイクはまだなんかな…。
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