ShigeakiMiyano

太陽の蓋のShigeakiMiyanoのレビュー・感想・評価

太陽の蓋(2016年製作の映画)
3.5
東日本大震災に伴う福島原発事故
これを題材にした作品は劇場公開作品の
「Fukushima 50」やNetflixオリジナルの
ドラマ「THE DAYS」が挙げられますが
どちらも災害現場で最悪の事態に至るのを
防ごうと命懸けの作業を続ける職員の姿と
翻弄され後手の対応に追われる政府の様子
を描いたモノです
今作「太陽の蓋」では視点を混乱する政府
関係者とリアル情報を得られずに苦悩する
報道陣にスポットを当てて物語が進んで
行きます

公開年を見てみると…
「太陽の蓋」が2017年
「Fukushima 50」は2020年
そして「THE DAYS」2023年になります
製作に充てられた予算規模やキャストの
顔ぶれなどがそのまま話題性や知名度に
繋がって評価されているように感じますが
“ あの時、何が起こっていたのか?」を
次第に風化していく時の流れの中で
伝え続けていく為に大切に残すべき作品の
一つと言えます

事故直後 “ 想定外 ” の一言で進んで行った
事態の悪化を見守るだけだった政府と
事故の当事者である電力会社の上層部
全くの無能ぶりを露見させた第三者機関の
原子力安全委員会
混乱し錯綜する情報に向き合いながらも
どうにかジャーナリストとしての使命を
貫こうと足掻く官邸付きの記者たち
状況に翻弄される地域住民
それぞれのエピソードを時系列で繋げて
深刻さを増していく当時の様子が淡々と
ドキュメンタリータッチで語られてます
( 過剰に反応する母親の姿などは
当時の世相の映し絵なのかも?)
後日の関係者への取材と言う形式で話が
進めたり ” あの瞬間 “ のリアル映像を
挟むことで緊張感を保っていきます

中でも印象的だった場面は電力会社本店に
政府関係者が乗り込んだ際に事故現場と
会社側がリアルタイムに情報を共有して
いた事実に愕然とするところで
いかに電力会社が助教判断を楽観視して
いたのかをにおわせる…ちょっと制作側の
意図が偏ってるように思えたりします

” 自己犠牲 “ さえも恐れず事態の収集に
邁進する現場職員を中心に描いている
他の2作品と角度を変えて作られた今作を
併せて視聴することで少しでも「あの日」
の真実に近づけるのは意義があるのでは
ないでしょうか。
ShigeakiMiyano

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