とむ

太陽の蓋のとむのレビュー・感想・評価

太陽の蓋(2016年製作の映画)
2.5

ドキュメンタリーにしては嘘くさく、ドラマにしては惹き付ける演出に欠け中途半端な印象。

もう少し要素を絞るなり構成を練り直すなりしてブラッシュアップ出来たんじゃないかとも思うが、低予算で出来ることは限られただろうからなんとも惜しい感じ。

淡々と、というのは目指す方向性としてはいいと思うんだけど、邦画特有の間が苦手なのもあってあまり合わなかった。

特に冷めたのが
・家庭を省みない気だるげな記者というありがちで魅力的でないキャラ
・「東大経済卒」という情報を盛り込みたいがための無理矢理なセリフ
・電話で入ってくる情報に一喜一憂するだけの政府事務方の演出
・斑目氏に相当する人物の悪意あるキャラ表現
・あんまり効果的と思えない時系列の入れ換え構成
・間をもたせたいシーンで都合よくやってくる余震
・何かの一報はだいたいTVで、毎度のように押し退けて観に行くワンパターンな演出

人に命をかけさせるという前代未聞の決断に至るまでの葛藤や議論のプロセスなんかがもっと表現されて欲しかったなあ。

良かったと思うのは
・「情報が来なかった」という政府に対し投げ掛けた「情報があれば何かできたんすか?」という問いかけ
・よくわかんないけど福島のばーさん(台詞のない淡々とした表現が一番ハマってた)
・似てないと思いきや所々仕草が似る菅直人や枝野幸男


FUKUSHIMA50に感動される方々にはぜひこちら側の視点も持ってほしいけれど、この演出じゃあつまらなくて観てもらえないだろうなあ。

反原発の強いメッセージを持って表現したのは分かるが、本当に伝えたい相手に届くためにどういう作りにすればいいのかをもっと考えないと勿体ない。
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