ふじこ

太陽の蓋のふじこのネタバレレビュー・内容・結末

太陽の蓋(2016年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

#Fukushima50 とほぼ同じ時間軸を、官邸側の視点で感じられる作品。

Fukushima50きっかけで視聴。
官邸側の視点なので、ご視聴の際は原発内の再現度は低いことにご留意ください。

またこれもフィクションなので、登場人物を批判する際はストーリーのどの部分が事実であるのか、確認するとこが重要。

福島原発で原子炉格納容器が爆発すれば、日本は機能停止するという危機感を持っていた点は官邸も共通していた。

一方で、原発の現場が官邸に持った不信感の裏側では何が起こっていたのか、官邸側の感情で描かれており、Fukushima50と合わせて見るべき作品であると感じた。

電源車の運搬がヘリでできなかった点や、
せっかく現場に届いた電源車の何か(電圧かプラグかは作品で異なる)が合わずに結局使えなかった点はFukushima50と同じ。

総理偵察はベントが遅れた一因ではないとしている点はFukushima50と異なっていた。

一番驚いたのは、テレビ会議で東電本店と福島原発が地震発生当初から繋がっていたことを、総理が知ったのが4日後の本店訪問時と描かれていたことだ。

ネットを漁ったが、この件の裏は取れなかった。もし事実なら官邸の様々な初期対応が変わっていた重大な事象だ。

現場批判の描写は予想よりも少なかった。

例えば、「現場の菅さんに対する評価は散々だが、菅さんは現場を信頼してた」などのセリフも見られた。

基本的に、情報の伝達摩擦の原因は東電本店というスタンスが貫かれていた。

例えば電源車が使えなかった件。また、テレビ会議の存在の隠蔽。

「撤退はありえない」についても本店から上がってきた情報に基づいての発言ということにしていた。

こうなると東電本店からの視点で描かれた映画も作って欲しい。

例えば、官邸は電源車の運搬を米軍に依頼できなかったのか?そもそもなぜ本店は現場と官邸をうまく繋げなかったのか?その体質に至るまでの過程は?

このまま「ほぼほぼ東電本店が悪かったんでしょ」が国民の共通認識になってしまってよいのか、多少の懸念を感じる。
ふじこ

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