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ジャック・リヴェット、夜警のooospemのレビュー・感想・評価

4.0
大好きなパスカル・オジェ出演『le pond du Nord 北の橋』で、パスカルがライオン像の周りをぐるぐる走り像に向かってガッツポーズして去るシーン、あのシーンを差し挟む前後にセルジュ・ダネーはリヴェットに、あのライオンは幸福感に満ちており良いシーンだと述べる。困ったような泣きそうなような顔でリヴェットは延々と続くダネーの批評を聞く。かと思えば映画への想いについて、自分自身の立場について、『セリーヌとジュリーは舟でゆく』を見た地球の反対側の若い女の子から手紙をもらった話について、恐ろしく個人的な観点で彼の言葉で語り始める。その言葉はダネーのそれのように客観的でなく、すこし自己中心的で、子どものように素直で、美しく、澄んでいる。作品群の柔らかな質感をそのまま物語る。その話ぶりを見る私は、フェリーニ的に大衆を巻き込む映画愛ではなく、個々人の心のやわらかい部分にそっと光を当てるように撮る人なんだなと感じる。もっと彼を知りたい。もっと彼の作品を観たい。
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