わしかずまの中の人

田園に死すのわしかずまの中の人のレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
4.2

【あらすじ】
中学生の"私"は、母親と二人暮らし。
"私"の唯一の楽しみは、イタコに父親の霊を呼び出させて会話をする事。
そこで"私"は、春になったら母を捨てて家出をしようと考えている事を父親の霊に打ち明ける。
そして"私"は、近所の若妻に駆け落ちしようと持ちかけられ・・・。

【事前情報】
原作は、寺山修司の歌集「田園に死す」
寺山自身、「アングラ演劇四天王」の異名をとり(他の3人は唐十郎、佐藤信、鈴木忠志)、その名に相応しい作品に仕上がっている。
寺山の父・八郎は太平洋戦争で戦病死しており、本作の"私"は寺山自身を投影していると思われる。



👇以下、ネタバレ含みます👇
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【所感】
なかなかカオスな作品。
でも、テーマは結構共感できるというか、なんか自分自身を照らし合わせて観てしまったな。
描写自体はえっちなシーンも多いし、赤を基調とした色使いなんかも非現実的で、その辺はしっかりとフィクション感が出ているのだけども😌

しかし、顔が白塗りなのはなんで?
そして、空気入れで膨らむ女房とは🤔
ピストン運動のメタファーになってるみたいだけど、「ほ〜ら膨らんだぁ☺️」って。

「私の少年時代は私の嘘だったのだ。」
確かに、昔の記憶は美化されているもの。
ただ、それを表現?しているのか、ちょいちょい長渕剛みたいな弾き語りが入るのが、個人的にツボ。
「待っていたら、お前に追いつかれてしまう。時間は待ったがきかないんだ。」
この辺の、過去の自分に今の自分が語りかけるセリフなんかは、共感できる事言ってるよね。
てか、雛人形の段飾りをそのまま川に流しているのはワロタ🤣

やっぱり今作は、えっちな描写が多いんだよなぁ。
サーカスってこんなに卑猥だったっけ?
いきなり裸の女に逆レイプされて童貞奪われるとか、なんつー初体験だよ(笑)

【まとめ】
田舎の閉鎖的な価値観を、寺山ワールドで表現している作品。
そして、ラストの新宿駅でのシーン。
閉鎖的な価値観というのは、その土地にもあるけど、毒親という存在を物理的に切り離さないと、脱却することはできない。
わしの親も毒親だから、今作は少し没入して観てしまった。
寺山の親も毒親だったのだろうか?