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田園に死すの俺のネタバレレビュー・内容・結末

田園に死す(1974年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

過去にタイムスリップし、三代前の祖母を殺すと自分という存在はどうなるか。
また殺したとして誰が祖母を殺したのか。
そうした自己の存在について考え、少年の頃の記憶に母殺しを行う。自分の描いた昔の少年は母殺しを行うことによって自分とはまた異なる存在になるのだろうか。
そのコンフリクトは家族という構造に疑問符を打ち、自らを成長へと導く行為。現代では核家族化が進み家族の機能は社会生活のほんの一部と化し、それ以外は外部に委託している。また昨今では「親ガチャ」という造語が生まれ、家族という構造のコンプレックスから皆自分の人生の自由性を問うている。一家に一台、柱時計のように家族は共有の時間を共にする。少年が腕時計を欲したような行いは家族という共通的意識の逸脱行為であり親から巣立つ成長である。寺山修司の母に対する愛とコンプレックスを家出を通して思案していくこの映画は現代の家族構造と重なる点があったと感じた。
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