こういう前衛崩れみたいな、エログロナンセンスの世界、あんまり得意じゃないんです。溝口正史、夢野久作、丸尾末広、ガロ系に括れる全てが。
確かにガジェットというか美術や謎の演出なんかはそういう世界なんだけど、途中からフェリーニに見えてくる。メタ映画だからっていうのもあるけど、何よりセピアで街を映すシーンがカッコいい。セットや奇特な演出に逃げるんじゃなく、カットもしっかりしてる。
問題は、イメージが飛翔しないこと。黒澤明の『夢』にも通じるんだけど、問いの立て方がかなり生真面目なので、面白くは無い。
……とは言いつつも、自問自答っていうもの自体が僕の好みなので、許します。