鮃サブロウ太

田園に死すの鮃サブロウ太のレビュー・感想・評価

田園に死す(1974年製作の映画)
1.0
禍々しい映像作品。
観るというより感じるというか、音楽を聴くようなスタンスで接したほうが作品の世界に入っていきやすいかもしれない。
ただし、視覚に訴えてこない音楽が映像作品以上に好悪を分けるように、本作は好き嫌いがハッキリ分かれる作品だと思う。
好きな人は涎が出るくらい好きだろうが、そうでない人は〝田園に死す〟のタイトルが出てくるまでの3分間で嫌気がさすだろう。
作り手の脳内イメージをそのまま映像化したような作品で、歪んだ自己愛には溢れているが画面越しの観客への配慮は絶無。
「分かる人だけが観てくれればいいよ」という尖った主張が時代のエネルギーを感じる。
フィルマークスのデータを見るまで知らなかったが、本作と『砂の器』は同じ1974年に製作されている。昨今の邦画からは感じられなくなった旺盛な表現意欲が伝わってくる。