この不可解さはどこからやってくるのだろう
その分からなさがさらなる恐さを生む
軸となるのは二つの事件
どちらも詳細は描かれず、推測の域を出ない
ひとつ目は夫婦が出会う前に起きた殺人事件、ふたつ目は夫婦である間に起きた恐ろしい事件
そのどちらにも深く関わるのが浅野忠信演じる得体の知れない1人の男。
事件後の夫と妻の変貌、
特に妻の変化が興味深い。
家族という枠組みの中で、
互いに何を考え、何を信じ、何を正義と考えるのかは、実はそれぞれに違う。
家族はそれぞれ秘密を抱え、心に闇を持っている。
では、それでも家族でいるその絆を支えているものは、そもそも何なのか。問はれているのは、そういうことだろうか。
罪と罰、そして贖罪とは
罪を犯して裁かれることとは、如何なることか
人が人を裁き、そして更正させる、社会のそんな枠組みの中で、正義とは、人が為すべきその善きこととは一体何なのか。
この現実を生きよ、ということがラストシーンの意味するところであるとするならば、
その現実はあまりにも過酷。