踊る猫

我が美しき壊れた脳の踊る猫のレビュー・感想・評価

我が美しき壊れた脳(2014年製作の映画)
3.9
惜しいな、と思う。材料はいい。突然脳卒中により倒れてしまった女性が、回復するまでのトライアル(当然、挫折も数え切れないほど味わう)を綴ったもの。生々しい迫力はある。しかし、彼女が思慕を寄せるデヴィッド・リンチの世界にも時間を割いてもっと描き込んで欲しかったなと思った。リンチの記事に触発されたのか? それとも作品に? その違いだけでも大したものだろうと思うのだ。ここからは繰り言になるのだが、私も発達障害というハンディキャップを脳に背負っており、それ故にこのドキュメンタリーから「脳が心を司り、意識を生み出す」ということの神秘を学ばせてもらったように思った。脳が可塑性のあるものだとするなら、私たちが努力することで(別段「脳トレ」なんてことをやらなくても、丁寧に生きるだけで充分ではないかと思うのだが)心や意識は無限の広がり/可能性を生み出す。それはわかる。リンチの心優しき不器用な住人たちを召喚して、もっと派手なドキュメンタリーにしてもよかったようにも思った。
踊る猫

踊る猫