ただひたすら下品で馬鹿馬鹿しく、安っぽくて技術的な質も低い映画ですが、肝心なところでゴダールの『勝手にしやがれ』と同じことを言っている気がします。つまり、こういうことです。
「とにかくカメラを持って外を走り回れ」
とどの詰まり、この衝動がなければ世界を驚かせる映画など産まれるはずもないのです。
見た目こそエキセントリックな登場人物たちですが、カメラの前でやりたい放題をする彼らを嬉々として見つめる眼差しは、パリの街を颯爽と闊歩する端正な立ち姿のベルモンドやジーン・セバーグに向けられる眼差しと根っこの部分で繋がっているように思います。
ラストでカメラに銃口を向けるディヴァインを正面から捉えたショットはボケボケでブレブレでしたが、そんな画面の遥か彼方にカメラ目線で唇を撫でるジーン・セバーグのクローズアップが重なってしまった私はどうかしているのでしょうか。
同じ題材をゴダールが撮っていたら…そんな突拍子もない妄想を巡らせるのもまた一興かもしれません。