TAK44マグナム

エクスペンダブルズ・ゲームのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

1.2
これこそ、エクスペンダブルズ詐欺!


シルベスター・スタローンがその人脈をフルに発揮、忘れ去られようとしていた筋肉アクションスター達を大集合させるという分かりやすいハイコンセプトで成功をおさめた「エクスペンダブルズ」シリーズ。
ヒット作が生まれれば、そのコンセプトをパクったB級作品が作られるのが世の常です。
「エクスペンダブルズ」も御多分に洩れず、「エクスペンダブル・レディス」や「エクスペンダブルズ・ミッション」など、そのタイトルを冠されたパクりっぽい作品がいくつか製作されました(もっとも、タイトルは適当に付けられた邦題ですが)。

「どうせロクでもないパチモノだろう」
時間を無駄にできない!と、今までそういった輩は避けて通っていました。
しかし、どうにも無視できない程にキャスト表が尋常じゃないのがあるではありませんか!
おそらく「エクスペンダブルズ」のパチモノの中でも最大規模の、どこかで見たことのある出演者の多さに惹かれて、ついつい地雷だとは覚悟しつつも鑑賞してしまったのでした。

まずは注目のB級オールスター豪華キャストですが、以下のとおり素晴らしくボンクラな方々が集まっております!

タランティーノ組でありながら出ている映画の九割がB級!
マイケル・マドセン!!

この男が「エクスペンダブルズ」の免罪符なのか?!
本家一作目の悪役と言えば!
エリック・ロバーツ!!

元フランスの格闘チャンプも遠い過去!「ネメシス」のグラサン二丁拳銃と言えばこの男!
オリヴィエ・グラナー!!

マチェーテおじさんはまだまだ現役!いかついヒゲと言えば!
ダニー・トレホ!!

かつて加藤雅也とも戦い、藤原紀香のオッパイを見たかもしれないクライングフリーマン!
マーク・ダカスコス!!

もうスポーンの中の人とは呼ばせない!と思っていたらそれが未だに代表作!
マイケル・J・ホワイト!!

ウルヴァリンとも戦ったレディ・デスストライクな女傑!
ケリー・フー!!

魅力的なアヒル口は今も健在!
魅惑の女ターミネーター!
クリスタナ・ローケン!!

荒ぶるターミネーター丸パクリなサイボーグ教師も今やオッサン!
パトリック・キルパトリック!!

「スターシップトゥルーパーズ」でデニス・リチャーズに振られた腹いせに虫を大量虐殺した男!
キャスパー・ヴァン・ディーン!!

元女性空手チャンピオン!
元祖・舐めてた金髪のチャンネーが殺人マシーンだった女闘士!
シンシア・ラスロック!!

伝説のバカアクション「サイバーコマンドー」主演!
ギネスブックにも載ったキックの鬼と言えば!
ドン・ザ・ドラゴン・ウィルソン!!

ミスター・タイタニック!
ビリー・ゼイン!!

何で出てるのキャンディマン!?
トニー・トッド!!

やっぱり今度もオッパイ担当!
バイ・リン!!

コブラ会を知ってるかい?
悪質空手師範と言えばこいつ!
マーティン・コーヴ!!

カート・ラッセルをフルボッコ!
ジェイソン・スコット・リー!!

いつもは悪役!
アクションスターと戦い続けて何十年!
ケイリー=ヒロユキ・タガワ!!

「ターミネーター」でビル・パクストンの隣にいたパンクスの1人!
ブライアン・トンプソン!!

どうです?
この超ゴージャスな顔ぶれ!
人によっては、映画好きでも一生見ないかもしれない顔ぶれじゃないですか!?
他にも、アキ・アレオンとかアーマンド・アサンテ、スティーブン・バウアー等々、実に香ばしい方々がちょびっとずつ出ておりますよ!
何の役かさっぱり分からない人も多数!
とにかく出てきては一言二言セリフを言って、そして去ってゆくのです!

・・・ではでは、選手入場が終わったところで本作を観た結果ですが・・・


地雷中の地雷でした!!
つ、つまらん・・・!!
覚悟をしていても血反吐はきそうなぐらいヒドイ!!


監督はエルケン・ヤルガシェフという良く知らない人。
何だか、同じようにB級スターを集めてワケの分からない映画を撮り続けているティモシー・ウッドワード・Jrと似た匂いがしてくるぐらいヤバいですよ!

DVDのジャケットには「世界を賭けた戦い云々〜」とか何とか書かれていますが、勿論そんなのは嘘八百でありまして、実際はかなりショッパい内容。
視聴率をとるために企画された、脳筋野郎どもによるリアルバウトをウリにしたリアリティ番組「最後の戦士」に参戦した特殊部隊出身のナッシュが暴走!
カメラの前で出場者どころか一般市民までも惨殺し始めます!
ナッシュの正体は軍が育て上げた殺人マシーンだったのです!
何とか事態を収拾したい番組側の思惑とは裏腹に、警察、州兵、そして遂にシールズまでもが出張り、世間にも隠し通せない状況になって大変だ〜!というお話でして、高田純次ばりにテキトーそうなマイケル・マドセンが金策にはしったり、とことん刑事役が似合わないケイリー=ヒロユキ・タガワが渋い顔で捜査したり、「タクシードライバー」のトラヴィスみたいなモヒカンにチェンジしたオリヴィエ・グラナーがホラー映画さながらに兵隊や市民をナイフでザクザク刺しまくるという、緊張感とは無縁な、こじんまりとカオスったバカ映画でズコーッ!となりましたよ。
水島新司の漫画みたいにズコーッ!って。

てっきりバトルロイヤルな格闘アクションと思いきや、後半は出来の悪い「ランボー」と化し、すっきりとしないラストもマジで意味不明で困ったちゃん!
無理やりに話を畳もうとしているのがアリアリ!

一応、タガワ演じる日系刑事が「湾岸戦争で殺人はショーになってしまった。戦争が、武器がいけないんだ」
とか何とかとテーマを唐突に語る場面もあったりしますが、そんなんでは襟を正せないぐらい、絶望的に安っぽい映画なので如何ともしがたい(B級を超越した)C級感が切ない!


でも、これは本当に詐欺だよな〜。
一堂に会しているようで会してないもの。
スター同士で戦う場面なんて無いし、豪華キャストとうたっている割に半分は微妙な人選なうえにカメオ出演ばかりだし。
シンシア・ラスロックなんてサイン会でサインしているだけだよ?
マーク・ダカスコスやジェイソン・スコット・リーは演武っぽい場面が一瞬だけあるけど決勝に残らないし(予選落ちかよ!)、トレホが編集のスイッチャーってそりゃ無茶な配役でしょ!
あんな編集マンいるか!
「俺も参加したかった」なんてセリフもあったけれどさ。
あ、バイ・リンは安定のオッパイ丸出しでした。
チョイ役でも出すものは出す。
そんなプロフェッショナルな姿勢には頭が下がる思いですが、もう少し出し惜しみしても良いかと思いますよ!
でも、オッパイだけですよ!
詐欺じゃなかったのは!
(・・・と、信じたい)


何がアレって、もしかしたらあわよくば続編もどうでしょう?というような締め方だったのが気になりますが、もしかしたらマイケル・パレとかルーク・ゴスとかデニス・リチャーズとか・・・その辺りの微妙なスターたちに声をかけたりして、小銭稼ぎの良からぬことを企んでいるのではないかと思うと夜もおちおち眠れません!
もう、B級スターたちをそっとしておいて欲しいですなぁ〜(苦笑)

総括すると、夢は夢のままの方が良いと気付かせてくれる、余計なお世話な映画でした。
ちゃんちゃん。


アマゾンプライムビデオにて