このレビューはネタバレを含みます
ドイツ占領下のパリを横断して、禁制の闇肉を運ぶふたりの珍道中。
占領下で暗いご時世なんだが、市井にはそこで生きる人々がいる、ってのを、生活に必要な肉を運ぶことで見せている。
非常時が日常、という切り口、この世界の片隅で、をすこし思い出した。
また、この非常時でなければ、世界が違うから出会わなかった2人のつかの間のバディもの、という切なさもある。
自分で道を切り拓いてきたからこそ傲岸なほどのデカい態度のギャバン、誰かに使われる使用人気質のブールヴィル。
パリが日常に戻ると、もう2人の暮らしは決して交わらない。一瞬手を振り、あんなこともあったな、と思い出すだけ。ちょっとビターな終わりが良かった。