グラッデン

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめのグラッデンのレビュー・感想・評価

3.4
微笑の向こう側にあった悲劇。

ソフィア・コッポラ監督の最新作。原作、過去の映像作品を未見で鑑賞に臨んだことから何度か見た予告編からイメージした内容とは乖離した展開でした。

女性だけの空間に現れた負傷兵。招かれざる客を巡る年齢の異なる女性たちが見せる駆け引きは、月並みではありますが、女性監督ならではの作り込みだったと思います。序盤は微笑ましく見えたモノが、一気にスリリングなものに変化し、そしてゾッとする展開に。特殊空間の中の日常を描くというコッポラ監督の従来のスタイルから一歩踏み込んだ新たな一面を垣間見ることができたかと思います。

ソフィア・コッポラ監督らしさ、という意味ではスクリーンに映し出される画面の作りの美麗さは本作も唸らされました。自然囲まれた屋外の切り取り方、光の当て方、そしてメッセージ性も感じる建物・装飾のディティールの数々。僅かな時間のシーンであっても、もう少し見たくなるような構図が多々あり、その意味では見直したくなる作品だったと思います。

また、女性キャストはキャラ付の意味でわかりやすさも感じましたが、先般鑑賞した『パーティーで女の子に話しかけるには』の熱唱等も記憶に新しいエル・ファニングが印象に残りましたね。まだ若さを感じますが、大人びた役柄でも見てみたいところ。