マチュー・ドゥミの着てるTシャツに「Dad and Mam went to California,But all I got is this dumb T-shirt」と書いてあって、よくそんな内容にピッタリなやつ見つけたな。
ヴァルダ自身のドキュメントを虚構化する、でも出てるのはほんとの息子。ヴァルダの分身、サビーヌ・マモーが出ると「彼女は私に似てる」とナレーションが重なる。マモーはテープで撮った声に「これ、私の声?」と聞く。しかし、それは実際にはヴァルダ自身の声。現実/虚構のややこしさは、おそらくヴァルダのよるべなさと重なる。悲しみや痛ましさは、曖昧に65分の中に漂っている。
物を拾う、という動作が何度か出てくる。『冬の旅』『落穂拾い』に連なるものがある。最初に映される多くの人々(アジア系が多かったように思う)の顔は、『顔たちところどころ』に連鎖するか。
突如男(元パートナーの設定)の全裸が出てきてマジかよって感じだったが、カメラが左寄りのちんちんをわずかに逸れて腰に寄ってくのが気になった。サビーヌ・マモーの裸の移動撮影とは対照的。固定カメラで映される、無声のセックス。