うにたべたい

日蓮と蒙古大襲来のうにたべたいのレビュー・感想・評価

日蓮と蒙古大襲来(1958年製作の映画)
3.7
日蓮宗の開祖「日蓮」を主役に据えた歴史ドラマ。
製作の永田雅一が熱心な日蓮宗で、氏は本作の後、日蓮を主役にした映画をもう一本作っています。

日蓮宗などのいわゆる十三宗五十六派について、私自身教科書レベルの知識しか持っていないです。
特に日蓮宗といえば日蓮系の某新宗教のイメージからあまりいい印象を持っていないというのが正直なところです。
"マンガ日本の歴史"みたいな本では、日蓮は辻説法で南無妙法蓮華経を唱え、暴れながら役人に連れていかれた変わり者のおじさんみたいに描かれてることが多いように思えます。
そういったイメージはほんとの所を知らない中で持っているもので、今回、色々調べながら本作を視聴しましたが、日蓮という人物について知るためには非常に良い映画でした。
ただ、視聴後にそのイメージが変わったかというとそういうことはなく、私のイメージでも映画内の表現でも、日蓮は激しい人物でした。

映画は建長4年、清澄寺で日蓮が念仏は法華経を否定するとし、"南無妙法蓮華経"によって救われると説くところから始まり、その後、史実をなぞる形で進行します。
日蓮の改名、鎌倉の大地震、立正安国論の提出に伊豆の流刑、そして龍の口で起きた奇跡、佐渡に流され、そしてタイトルにある元寇"蒙古襲来"に日蓮が立ち向かう展開となります。
なお、内容が内容だけに宗教色が強いですが日蓮宗の教えにスポットはあたっておらず、信者獲得のための宣伝映画的な作りにはなっていないです。
なってないですが、話の作り的に仕方ないところがあるとはいえ、幕府が非道で日蓮が正しく、民衆は皆、日蓮の味方だという書き方はちょっと都合が良すぎるかなと感じました。

ラストの元の船が大風に見舞われて甚大な被害を被るシーンの特撮が大迫力のため、本作は特撮映画として著名です。
特撮は評判通りの素晴らしいできでした。
そこまでは結構長く待つ必要がありますが、歴史映画として普通に面白かったので、視聴前は寝るの覚悟で見始めたのですが、意外に2時間強の間、集中して見ることができました。
特撮だけじゃなくて、歴史ドラマとしてもおすすめします。