日本統治下の朝鮮における創氏改名での民族アイデンティティを背景に、日本に渡り独立運動を標榜した宋夢奎(ソン・モンギュ)と彼を精神的に支えた従弟の詩人である尹東柱(ユン・ドンジュ)の実在した二人の残酷な悔恨青春記。「手紙と線路と小さな奇跡」「スタートアップ！」パク・ジョンミンと「ミッドナイト・ランナー」「パイレーツ：失われた王家の秘宝」カン・ハヌルの韓国若手注目俳優共演作で、「ソウォン/願い」のイ・ジュニク監督作だから哀しくても救いある暖かい涙が流せるかと思ったら、抒情と叙事をモノクローム映像とRobin Guthrieのような五月雨ギターの反復で描いた反日感情を煽る内容は日本人には辛辣で重い映画でした。夭折した彼らのような昔の若者の志し高き精神的な成熟を今の空虚なZ世代に学んで欲しい。言葉の剥奪の喪失感の今作と対を成す同時代の言葉の奪還の苦闘をエンタメに昇華した「マルモイ ことばあつめ」と併せて見てください。この深い感銘が覚めないうちに韓国では教科書題材にもなっている尹東柱の詩集を買いに行ったけど地元の本屋と古書店を数軒回っても見つからずで通販。
