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丘のHKのレビュー・感想・評価

(1965年製作の映画)
4.0
監督のシドニー・ルメットと主演のショーン・コネリーの二人が比較的キャリアの初期に組んだ最初の作品ですがかなりの見応え。本作をこれまで観ていないとは迂闊でした。
この2人が組んだ5作品(他は『盗聴作戦』『怒りの刑事』『オリエント急行殺人事件』『ファミリー・ビジネス』)の中でもダントツで、カンヌでは脚本賞を受賞。
ルメットとコネリー、どちらにとっても初期の代表作の一つと言えるでしょう。

第二次大戦下のアフリカの砂漠の真ん中にあるイギリス陸軍刑務所が舞台。
脱走や盗みなどの軍規違反を犯した囚人たちが過酷な訓練を課せられる中、上官を殴ったコネリーを含む新たな5人の囚人が送られてきます。

“丘”とは刑務所の敷地内にある訓練用というよりは体罰用の人工の丘のこと。
実物はジャケ写の“The Hill”のロゴよりもっと大きく急斜面。
この丘をフル装備の重量で、しかも駆け足で繰り返し昇り降りさせられます。
閉鎖的空間で刑務所員たちの度を越したシゴキに耐えかねた彼らは・・・

コネリーは当時35歳、『ゴールド・フィンガー』と『サンダーボール作戦』の間の作品でジェームズ・ボンド時の全盛期。
本作では口髭をつけてボンドと差別化しています。
私の知る限りコネリーの主演作では最初の口髭キャラじゃないでしょうか。

ルメット監督作としては名作の『質屋』『未知への飛行』に次ぐ作品で、作品のタッチも似ており、予定調和を一切許さない緊張感で引っ張ります。
クリアなモノクロ・ヴィスタサイズ。
外部から隔絶された軍刑務所というお得意の閉鎖空間でルメットの手腕が発揮されます。
このラストがまた・・・

軍刑務所のボスともいえる特務曹長を憎々しく演じるのはハリー・アンドリュース。
この人、軍人の役や大きなお屋敷の執事の役なんかで見かけますが、本作が間違いなく代表作でしょう。
でもさらにたちが悪いのがその部下の新任看守(イアン・ヘンドリー)。
出演は他にイアン・バネン、オジー・デイヴィス、サー・マイケル・レッドグレイヴなど。
『十二人の怒れる男』などと同じく、女性はほぼ出ません。
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