アキラナウェイ

獣道のアキラナウェイのレビュー・感想・評価

獣道(2017年製作の映画)
3.2
伊藤沙莉、好き。
小柄でハスキーヴォイス。
その印象はフローレンス・ピューとも重なる。和製ピューちゃん。

そんな彼女が「アナザースカイ」という番組で、役者として一皮剥けたと感慨深く振り返っていたのが本作。とにかくチャレンジングな役だったと。

そんなところから興味を持って鑑賞。

実話を基に。
親の愛情を十分に受けずに育った少女が、自分の居場所を求めて彷徨うさまを描く。

愛衣(伊藤沙莉)はある地方都市に生まれた。母親が新興宗教にのめり込んでいた事から、親元を離れ新興宗教施設、不良グループ一家、平凡な中流家庭等を転々としていくが—— 。

壮絶な半生。

鬱屈した吹き溜まりのような地方都市の片隅でヤンキー達が今日も暴力に明け暮れている。

とにかく伊藤沙莉はまさに体当たりの演技だった。何かと脱ぐシーンが多いのもあるが。最終的にはAV女優で大成する役だし。そういや、お兄ちゃんのオズワルド伊藤が、家族全員で本作を劇場で観て泣いたんだとか。そりゃ複雑な心境だろうよ。

伊藤沙莉とダブル主演扱いで強烈なインパクトを残す俳優がもう1人。須賀健太である。愛莉を客観的に見つめ、ナレーションを務める亮太という寡黙な不良少年を演じる。これまでの彼のイメージからはかけ離れていて、きっと彼にとってもチャレンジングな役だったのかも。

地方都市の生きづらさが沁みる。

どうも、ストーリー運びの雑さが気になる。ぶっ飛んでいるけれど、個人的には笑いに昇華出来ている訳ではないように思えた。

監督は内田英治。「ミッドナイトスワン」でも感じたが、女性の裸(「ミッドナイトスワン」では草彅くんの裸だけど)をただの見せ物として扱う感じがあって、何となく嫌悪感を感じた事を思い出した。

インパクトはあるが、コメディとするには笑えなくて、ドラマにしてはぶっ飛んでいる。悪くはないが良くもない。というのが、個人的な感想。

因みに高2の娘は身長があまり伸びないのが一時期悩みのタネだった。そんな娘がふと「ウチ、伊藤沙莉と同じ身長だって」と明るく笑った。じゃ、遠目で見れば伊藤沙莉じゃないか。「じゃ、いいね」。2人で笑った。