かじドゥンドゥン

ブレードランナー 2049のかじドゥンドゥンのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
3.8
かつて大量生産された人造人間「レプリカント」が人間に対する反逆を企てたため、その後はレプリカントの製造が中止されていたが、やはり人類の未来のためにこの技術は不可欠ということで、新型のレプリカントが生産・活用されて久しい近未来。いまだ方々に散らばり潜伏している旧型のレプリカントは、「解除」(抹殺)の対象として取り締まられている。

主人公の捜査官「K」は、自身が新型のレプリカントで、旧型の解除を任務としているが、ある事件の捜査に際して、ある一対の旧型レプリカントが子を産んで生殖したらしい痕跡を見つける。Kの上司(人間)は、生殖の可能性によって人間とレプリカントの線引きがあいまいになり、秩序の混乱、革命に至ることを危惧し、生殖の痕跡を隠滅するよう、Kに極秘命令を下す。他方、レプリカントの生殖により飛躍的な大量生産が可能になると踏んでいる大企業や、自己増殖によって人間を圧倒し支配関係を転覆しようとする旧型レプリカントの革命派ゲリラ組織の思惑が錯綜する。

Kは、レプリカントにはあるはずのない幼少期の記憶の持ち主で、脳裡に焼き付いたその光景に照らし合わせると、どうやらKこそ、レプリカントの奇蹟的な生殖によって生まれた子らしい。こうして捜査が一転、Kの自分探しの旅となる。

結局、Kは、奇跡の生殖において「父」にあたるデッカードを見つけ出すが、それと同時に、自分に刷り込まれた記憶は自分のものでなく、よって自分はやはり製造された標準的レプリカントであることを知って、失望する。それでも、デッカードは自分の娘にあたる有能なレプリカントに引き合わされ、レプリカントの生殖という(彼らからすれば)革命の切り札はどうにか温存されることとなった。

前作を観ていないので、さぐりさぐり筋を追うことになった。CGはなかなかのもの。Kが利用しているバーチャルカノジョのような製品が興味深い。(というか、あの美女がところどころ登場しないと、この長編作を最後まで見切るのはつらい・・・。)

革命派のレプリカントは、「人間よりも人間らしく」をモットーとしている。あくまでも人間を基準に自分を測り続ける点は、人間によって作られた「人造人間」の限界か。他方で、人間視点で見れば、自分自身を超える自分を造り果せたわけで、皮肉ではあるが、さすが人間。