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ブレードランナー 2049の映画を見る猫のレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
3.9
続編としては上出来。
前作の世界観をそのまま残しつつ、前作を知らなくても見ることのできるくらい独立したストーリー構成◎。
色々な観点から語ることのできる映画だと感じるが、個人的に気になったのは「女」の表象について。
荒廃した砂嵐のなかに見える「女」の像に、街の巨大なホログラム広告の「女」が、惜しげもなく性的魅力を誇示した未来世界。
プログラムを逸脱した感情をもつのはどれも「女」のレプリカントばかりだ。
さらに奇跡とは「女」のレプリカントが人間の子を宿すことだという。
思うに、ジェンダーというよりも生物学的な差異として、女の身体は男のそれと大きく異なる。
成長に伴い膨らみ、子を宿すことで驚くほど変形する肉体は、男性からすると欲望を誘発する一方で、永遠に未知なる知り得ないモノへの恐怖を喚起させるのだろうか。
面白いことに、女のレプリカントのプログラムを越えた進化は、常に「男」への愛という感情を起因とする。
ある「女」は主人公への愛を一途に貫き、ある「女」は名付け親である主人に絶対的な忠誠を誓い、ある「女」は愛する男の子を宿す。
表面的に、この物語に出てくる男性は無力感に苛まれているようにも見える。
だが、ある種どこまでも可変的な可能性をもつ「女体(レプリカント)」。そのコントロールの鍵は「男」への性的欲情だという制限がある。
やや穿った見方かもしれないが個人的にこれはpatriarchyな映画だと読めて仕方なかった。
何にせよ、映画館で見て正解。