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ブレードランナー 2049のネズミツオのレビュー・感想・評価

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)
5.0
荒廃しきった希望のない近未来を描いたオリジナルよりも、ネオンカラーに染まるL.A.の街並みと現実的なハイテクノロジーをフルに活かした世界観はオルタネイト・ブレードランナーと呼ぶに相応しく、絵画を見ているような大変美しいヴィジュアルに圧倒されました。

ライアン・ゴズリング扮する捜査官Kとホログラフの彼女ジョイが醸し出す色気。まさに『ドライヴ』で見せた色使いじゃないですか。アナ・デ・アルマスはとってもキュートだけど、可愛すぎるんだよねえ。(完璧すぎてニガテかも?)ヴィルヌーヴ監督が得意とするダイナミックな俯瞰撮影数々。窮屈なスペースでの大バトルシーン。正直言って大したストーリーじゃなく尺も長すぎるのだけど、画でぐいぐい引っ張りまくるから163分が全く飽きない。むしろこの夢から覚めないでほしいと感じる心地良さ。それが正式な続編『ブレードランナー2049』。

違和感を覚えないのは随所にローテク技術を駆使しているからでしょう。やはり手で触れられる「本物」に勝る映画はありません。レプリカントが人間社会に溶け込み、生身の人間より人間らしく生活しているのも素晴らしい演出でした。日々、労働に従事するデイヴ・バウティスタ。あれ工員にしか見えないですよ(笑)女アサシンの如く、一切の無駄を省いた完全なる殺人レプリ"ラヴ"を演じたシルビア・フークスのクールビューティさも見所の一つ。人造人間なのに自己主張は控えめ。ここがリドリー・スコット版と大きく異なる点だと思います。

壁ボン!や1時間45分を過ぎた辺りからやっとこ登場するハリソン・フォードのいつものガニ股ダッシュも健在(爆)老けたけれど紛れもないリック・デッカードでしたよね。それにブラスターガンが全く色褪せない!もう、ホント惚れ惚れする!!ヴァンゲリスの"Tears In Rain"をハンス・ジマーがカバー。この曲が流れる度に「雨の中の涙のように…」の名台詞が頭の中を駆け巡ります。

雨と雪の質感。特にキャラを窓越しから切り取った場面は窓ガラスに激しく叩きつける雨との遠近感がとても効果的。IMAXの3Dで見ましたが、これまでで一番最高のIMAX体験でした。映倫区分はPG-12でしたが、レプリカントのヘアが無修正で良かった。あそこで修正加えてたら作品が台無し。首チョップで吐血する男にはビビる!デッカードの愛犬がウイスキー舐めるシークエンスが良かったね~♪エンドロールであの曲ね。咽び泣くよね。ドゥニ・ヴィルヌーヴは昔気質の者を満足させてくれる新進気鋭の監督。寡黙なゴズリンは相変わらず顔で喋って口説いてくるなあ~。ポリススピナーに乗ってみたい(逮捕されてもいいからw) "Skin Job!"←ハイ逮捕!w

【2017年10月27日(金)】
109シネマズ湘南で鑑賞。
IMAXシアターにて(3D上映)※公開初日
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