ROY

群衆の中の一つの顔のROYのレビュー・感想・評価

群衆の中の一つの顔(1957年製作の映画)
4.2
力!それが彼の愛したものだった!

「普通の男」から生まれるファシズム

メディアの力で片田舎の浮浪者から人気者に登りつめた粗野な男が、人気の高さを武器に力を持ち、やがて裏で議員や企業と結託して民衆を操作する側に立ってしまう恐ろしさを、エリア・カザンが織密に描き出した衝撃の傑作。

■STORY(DVD裏面より抜粋)
KGRKラジオ局経営者の姪で、報道番組担当のマーシャ・ジェフリーズ(パトリシア・ニール)は、様々な人々の素朴な「顔」を探すという自分の番組「群衆の中の一つの顔」の取材で、アーカンソー北東部にあるトマホーク拘置所を訪れた。そこでラリー・ローズ(アンディ・グリフィス)という若者を発見する。彼が下の名前を名乗らなかったので、マーシャはとっさに“ロンサム(孤独な)"・ローズと紹介して、彼の朴納としたギターの弾き語りを収録した。この録音を聞いた伯父のJ・B・ジェフリーズは、ロンサムに惚れ込み、釈放された彼をラジオのパーソナリティーとして雇い入れる。それからというもの、ロンサムの粗暴だが、庶民の気持ちを代弁する語りと歌は、ラジオの電波に乗って町中に大旋風を巻き起こした。やがて彼の評判は隣のメンフィスのテレビ局のプロデューサー、メルミラー(ウォルター・マッソー)にまで届き、テレビに出演することになった。初収録日、ロンサムはカメラに向かって自由に語りかけた。放送されるたびに大反響を呼び、彼は大衆の圧倒的支持を得るスーパースターとなる。やがて彼はニューヨークへ進出、国際的な製薬会社の滋養強壮薬の広告塔となるのだが…。

■NOTES
撮影は『ドリアン・グレイの肖像』『マイ・フェア・レディ』でオスカーに輝くハリー・ストラドリング。音楽はSSWのトム・グレイザー。

「『エデンの東』のエリア・カザン監督が手掛けた社会派ドラマ。ラジオからテレビの時代へと移行しつつあった1950年代後半を舞台に、メディアの力で浮浪者から世間の人気者に登り詰めた青年が、やがて自分の力を過信したせいで転落する姿を描いてゆく。大衆によってヒーローに祭り上げられた男の悲劇は、当時のアメリカ社会への痛烈な批判を含みつつ、さまざまなメディアが発展した現代にも通じるテーマとなっている」(「スターチャンネル」より抜粋)

シドニー・ルメットの『ネットワーク』に影響を与えたであろう内容。

「彼(マーティン・スコセッシ)は、国家の緊急時における労働搾取について教えてくれた作品として、『怒りの葡萄』(スタインベックの原作をジョン・フォードが大胆に脚色した作品)と、政治とマスメディアの融合と個人崇拝という、今私たちが直面している問題の核心に迫ったエリア・カザンの『群衆の中の顔』を挙げました」(Teodorczuk, Tom「Martin Scorsese unveils movie curriculum showcasing classic films about American democracy」『Market Watch』2018-03-28、https://www.marketwatch.com/story/martin-scorsese-doesnt-mind-if-you-watch-his-movies-on-a-smartphone-2018-03-28 より抜粋/翻訳)

スパイク・リーが本作について話している動画もあった(https://youtu.be/bSNZ3ABiJDA)

その他興味深かった動画を
・「Andy Griffith Predicts Trump」https://youtu.be/Z_m3vdPLQ68

“Say you gonna love me! Love me! Love!”

“THERE’S NOTHING AS TRUSTWORTHY••• AS THE ORDINARY MIND-OF THE ORDINARY MAN.”

■THOUGHTS
アンディ・グリフィスが暴れまくる

最後らへんのラリーの狂気は『キング・オブ・コメディ』ぐらい気味悪かった👏👏

Coca-Cola
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