サイクロプス

カフェ・ソサエティのサイクロプスのレビュー・感想・評価

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)
4.5
大人向けオシャレ映画
ここ最近のウディアレンでは、一番の小気味よさ

大げさな物語も、過剰な妄想もない
シンプルなラブコメディ
舞台は1930年代のアメリカ
衣装も音楽もクラシカル
フィッツジェラルド原作といわれたら、信じてしまいそう


ニューヨークのブロンクスで生まれ育ったウディアレンの地元愛や、ユダヤ人社会への愛憎が垣間みえるのも面白い
そこではギャングと教師が家族として、普通にひとつのテーブルを囲んでいる
逆にハリウッドの虚栄に対しては、かなりシニカル

そしてタイトルにもなっている「カフェ」には金持ち、政治家、ゴロツキ、映画人、モデル、様々な人が集う
清濁入り混じって交錯するし、色んな事情が絡み合う
まるで人生は善悪とか倫理とかで割り切れるほど単純じゃない、とでもいいたげ


キャストについても触れておきたい
主役の二人が光ってる

ヒロインのクリステンスチュワート
こんなに可愛かったっけ?というくらいチャーミング
都会っぽいんだけど、スレてない
そりゃみんなが虜になるよと納得

主人公ボビー役のジェシーアイゼンバーグも心地よい
リズムよく、機転をきかせながら、まくし立てるように喋る
それでいて嫌味なく、人懐っこさや純朴さを感じさせる
どこか「アニーホール」のウディアレンに似てる気がした


96分と短めなこともあって、スッキリ爽快
後味も余韻も残る小気味よい映画
予告編の「大人のおとぎ話」という表現がぴったり