めしいらず

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3.0
仕事に多忙で笑顔を失くした娘を心配する父親の思いはなかなか届かない。良かれと思っての言動が悉く裏目に出て却って溝を深めてしまう。相手に通じないジョークでスベっている父に娘の眉間のシワは深まるばかり。でも彼は諦めない。別人になりすました体で何度でも彼女の前に現れる。父の伴奏に促されるまま人前で嫌々歌わされた娘が次第に興が乗って熱唱したのは、歌詞の内容もさりながら、そんな風に父と過ごした昔日に思いを馳せたからだろう。大切なことはすぐには気付かないし、何かにかまけるうちに忘れてしまいがちだ。その後の娘が提案した頓狂なパーティ。彼女はどこか吹っ切れたよう。娘の問いかけに生きる意味を語る父。彼女はようやっと素直な笑顔を浮かべられた。
親子関係に悩む人には特に響くだろう物語。たださすがに長い気はする。ジャケットに写っているのは一体何事かにわかには理解できないけれど、観るともちろん氷解する。
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