主人公の女の子はスターという名前で、小さい妹と弟を連れてデカいダンプスターでゴミ漁りをしている。家に帰るのにヒッチハイクをしていると、若者でギュウギュウ詰めになったヴァンを見かける。
スターは若者の一人ジェイク（シャイア・ラブーフ）に一目惚れしてしまい、家出してこの若者たちに着いていくことにする。
ゴミ漁りをしているところから、かなり貧しいんだなってことは分かりますが、家に帰ると全てが汚く、その上スターはお父さんにレイプされていることが分かる。だからジェイクに「明日朝8時にモーテル６で！」って言われて行くんだろうなとは思ったけど、幼い妹弟はどーすんだろ？連れて行くの？！
と思ったら、カントリー・ラインダンスをやってるバーに行く。妹弟の母親は、ダンスしている女性の一人なんだけど、この女性も男がいる。スターの姉？それとも母親？とにかくすごい環境だよな〜と思わされる。
妹弟はこの女性の元に置いて、スターは若者たちと合流するのだが、普通、映画ではこういうのって新入りに冷たいじゃない？でも若者たちは「ハーイ、ニュー・ガール！」みたいにローキーで優しく、なんか悪い子達じゃないんじゃん、って思う。
ここでライリー・キーオですよ。スキャンティなトップスにピチピチの短パン履いて「ふざけてないで私の荷物手伝って！」って、なんか女元締めらしい。男の子たちも「OK、ボス！」みたいに言うことを聞く。
このライリー・キーオが予告編でタバコ片手に “OK, you’re hired” って言うところとか、若者たちと歌歌ってるところが「いいな〜、コイツ！」と思って観た映画なんだが、ほんっとこの人怪しい感じがたまんないっすね。
この若者たちは、雑誌のサブスクを売り歩いて生活しているらしい。街から街へと旅し、安いモーテルに泊まり、金持ってそうな住宅地でドアを叩き、いろんな作り話をして雑誌の購読にサインさせる。
あんなドレッドヘアとかタトゥバリバリとかの若者が来て、ドアを開ける気が知れないが、こういう子たちって本当に存在して、それを取り上げた記事がこの映画のネタ元らしいので、本当の話なんだろうな。私はこんな子たちがうちに来たらめちゃ警戒する。なのに、雑誌購読買ってあげて、名前や住所や色々教えるなんて！！
しかしこの子たちは、仕事は真面目にやっているのだ。ライリー・キーオ演じる元締めが、すげーがっちりシメている。朝はちゃんと８時に駐車場に集まって、ミーティングし、そこで「お金を稼ごう！」みたいな歌をみんなで歌い、「言い訳は許さないわよ！」とか言われてせっせと雑誌を売る。
なんかどうも、スターがリクルートされた時元締めが「あんたがいなくなって探すような家族とかいるの？」って聞いているので、そうじゃない子たちばかり集まっているから、みんなこの仲間がいる生活が好きで、それで逆らったり逃げたりしないみたい。
スターは「あんたアホなの？それとも世間知らずなの？」って思うくらい、訪問販売で嘘を付くのがイヤとか言って、男の車に乗り込んで着いていったり、変な行動する子なんだけど、この子が着いていく男たちがみんなすごいいい人。レイプされかねないような状況なのに、紳士的に振る舞う。
なのに、いつも最後ジェイクが来て男をボコボコにして、美人局みたいになっちゃう！（笑）
ジェイクはどーも胡散臭い。演じているのがシャイア・ラブーフだから特に（笑）。
ストーリーは特になくて、若者たちが車で移動し、雑誌を売って、夜は焚き火をして・・・みたいなのが繰り返されるだけなんだけど、不思議と飽きない。若者たちの会話が、ほとんどアドリブなんだけど、なんだかこの子供たち憎めない。
彼らが行く先が、石油掘ってるところとか、食肉処理場、テキサスのカウボーイとか、ちょっとリベラルが一言言いたいようなところが背景になっているんだけど、そこで働いている人間たちは、スターに良くしてくれたりして、批判の対象にしていないところがいいなと思った。
あと、スターが虫や小動物に優しいところが描かれるんだが、同時に若者や小さい子供が犬や猫を乱暴に扱うのが観ていて気に障る。特に若者集団の一人が、訪問販売しているときに見た飼い犬を気に入って盗んできたというのはイヤだったなあ。犬を幸せにしてあげられるかどうかは考えないんだなあ。飼い主の気持ちは？この犬は結構楽しそうにしていたからまあいいけど、こういう行動を美化して描かないで欲しいとは思った。
ウィキでは「ちょっと変わったカミング・オブ・エイジ」ストーリーとかって言われていたけど、個人的には主人公の個人的な経験や感情より、若者の生態も含めて現代の病めるアメリカとそこに住む普通の人々を描いている感じが良かった。
