クリーム

午後8時の訪問者のクリームのレビュー・感想・評価

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)
3.7
女医ジェニーが無防備過ぎて、彼女目線で進む話は、ハラハラしました。ダルデンヌ兄弟は、今回は移民受け入れに対する問題提起の様ですが、ラストが普通に終わるので、いつもとは違う感じでした。ジェニーの行動が極端なので、引っ掛かりながら呑み込めずに観賞後にじわじわ来ました。結局、何も変わらないって事かぁ。嫌いじゃないですが、ダルデンヌ兄弟色は他の作品に比べ薄い。

診療所で働いている女医ジェニー。 診療時間を1時間以上過ぎた午後8時頃、ドアベルが鳴り、研修医のジュリアンが出ようとするのをジェニーが時間外だと止めた。翌日、警察が来て、近くで黒人の少女が殺害されたので、防犯カメラを見せて欲しいと言う。録画を見てみると昨夜午後8時頃ドアベルを鳴らした少女が映っていた。 もしあの時、出て入れば少女は死なずに済んだかも知れない。ジェニーは責任を感じ、少女の身元調査を始めるのだが…。



ネタバレ↓



少女は、売春婦でした。余計な詮索をされたくない者、真相を知られたくない者、警察等、皆に疎まれますが、彼女は少女の名前や身元を知りたかった。お墓も用意して、遺族が現れるまでと、10年分のお金も払います。(やり過ぎ)
ジェニーが少女の身元を調べる為、聞き込みをすると、老人施設に入居する父に売春婦を宛がっていた息子に凄い勢いで怒鳴られたり、ネットカフェで動画を見せて聞き込みをした男達に車を止め窓を開ける様に言われゴルフクラブで、余計な詮索をするなと脅されます。これは怖かった。
結局、患者の少年ブライアンの離れて暮らす父が、少女を買い、追いかけ回し、彼女は河原で転倒し亡くなったのだった。自分で転んで亡くなった事故死。ブライアンは父を庇っていた。
ジェニーに真相を話しに来たブライアンの父は、診療所のトイレでベルトを使い首吊り自殺をしようとするも失敗。ジェニーに促され警察に電話するのでした。
その後、ネットカフェの女性店員がジェニーを訪ねて来ます。亡くなったのは、自分の妹で、奔走してくれた事で事件が解決したと礼を言います。女性の本名は、警察で言われ名前とは違っていました。そして、自分の彼氏が妹に仕事をさせていた事、妹と彼氏が仲良くなり嫉妬していた事等も話、ジェニーに感謝を告げ出て行きました。

どう見ても治安の悪い地区で、誰でも受け入れる診療所と言うのが、怖すぎる。夜中に訪問診療とは言え、男の家に上がり込むとかホント怖い。聞き込みだって脅されて怖かった。何故、ジェニーが、あそこまでするのか理解出来ませんでした。あれで自分が殺されたら、家族はどう思うんだろう?ジェニーは、真っ直ぐで良い人かも知れないけど、偽善者で自己防衛能力の低い、甘い姉ちゃんにしか思えなかったです。映画的だなって思えてしまいました。勿論、考えさせられる良いテーマでは、ありましたが…。ダルデンヌ兄弟なので、もう少しキツイ終わり方でも良かった気もします。ジェニーが、殺されそうになった所でプツッと終わるとか…。駄目か…。面白かったですけどね。
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