曇天

午後8時の訪問者の曇天のレビュー・感想・評価

午後8時の訪問者(2016年製作の映画)
3.6
小さな診療所を訪ねた女性を招き入れずにいたら、翌日刑事の聞き込みで彼女の死を知り、罪悪感を感じて単独で捜査を開始。死者は身元不明で無縁墓に入れられたので家族に知らせたいという理由もあった。

主人公が医者なので、秘密を抱えてる患者達の話を聞いてあげてセラピーのように心を解きほぐしていくことで真実に近づいていく。探偵モノの枠組みがキャラクターの設定に上手く合致していて説得力がある。エンタメとして普通に楽しめる。
社会派としても切実。国が移民に不寛容で安く危険な職に就くしかなく、白人がそういった貧困層を食い物にしているなどの描写も。最初の「訪問者を拒む」という行為自体が移民排斥のメタファーだと後から気づいてはっとした。当事者以外にはそれが問題とは気づきにくいことを表した導入、上手すぎ。

でもねーやっぱり細かく見ると社会問題とは関係ない理由で証言を拒んでいたり、動機が私的な感情だったりでホントにエンタメとして普通に面白いんだよ。「女医の探偵」という設定が際立ってるから、もっとジャンルに寄せればハードボイルドな路線のミステリーで雰囲気良くなったんじゃないかなー(研修医の助手と共に医者の守秘義務活用して町の事件を独自捜査・悩める患者も医者の前では饒舌に・犯人は追いつめずに自白を促す~等々既に性格付けがばっちり)とか夢想。TVシリーズ希望!ないか。
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