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わたしは、ダニエル・ブレイクのfmkのレビュー・感想・評価

4.3
ここ最近で一番泣きました。
心温まる人と人との思いやりに触れたのと、あまりにもショッキングな内容だったからです。
私たちが知っておくべきことが詰まっている作品だと思います。そしてこれまでの私自身の無知や偏見を恥じました。

多くの賞を取り、評価が高いのは以前から知っていたのですが、あらすじを読むだけでは全体像が掴めず、何となく難しくて面白くなさそう、国の制度とかよく分からないし、、くらいに思って、避けてきました。
今言えるのは、全員観るべき!ということです。

働きたいのに働けない、なりたくてなっているわけではない心臓の病気で、仕事はドクターストップがかかっている状態。仕事をせずに生きていけるほど裕福ではないため、国の制度を使って給付金を得られないかと画策するがなかなかうまくはいかなくてーーいう話。

批判覚悟でいうと、、
給付が必要な方々は、先天的に障がいがあるなどの理由を除いては、当人に何らかの非があるからそういう事態に陥っているのであって、必要最低限の暮らしでも仕方がないくらいに思っていました。

この作品を観て、非がなくても国の複雑な制度によって給付が受けられず苦しんでいる人がいること、また多少は非があったとしても生き続ける権利はあるし、“必要最低限“な生活さえもままならないケースがあるということを知りました。

国のお金の使い道って、膨大すぎてよく分からないし、自分が声を上げても仕方がないものと思っていたけど、こういう現状が日本でもあるかもしれないと考えることは大切だと思いました。


〜〜以下、少しネタバレ〜〜





作中で、胸に刺さったシーン。
市役所の担当者が「根が良くて正直な人たちが(給付を受けられず)ホームレスになっている」という事実を述べ、多少は不正を働いても給付金を得る努力をすべきと助言したところで、ダニエル・ブレイクは「だが尊厳を失ったら終わりだ」と、自分にとって正しいと思うやり方を選び、給付を諦める。

ーーどの世界でもこうだなと思いました。
全員が正直誠実に生きていればこんな事態にはならないかもしれないのに。

ふがいないです本当に。

人道を外れるようなことはせずに、税金を支払い続けた、いわゆる“善良な市民“なら、必要な人に必要なお金が届き、最低限の生活ができる世の中になってほしいと心から思いました。
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