Blake1757

わたしは、ダニエル・ブレイクのBlake1757のレビュー・感想・評価

3.5
ごく普通の善良な一市民を排除していく、社会福祉制度。あからさまな“悪意“が現前化しない分だけ理不尽だという思いが募る。劇中で直接言及されているわけではないが、「新自由主義」、「自己責任」という(大嫌いな)言葉が浮かぶ。主人公が怒りを向ける矛先が「白い壁」になってしまう所が切ない。
日本映画の『マイスモールランド』の川和田恵真監督は、インタビューなどでケン・ローンチへのリスペクトを口にしていた(そもそも是枝の弟子筋)と記憶しているが、根っこにある問題意識は共通している。家族、特に子役の描き方も、どちらもとてもよい。
描き方はまったく異なるが、ラストシーンのケイティと、『マイスモール~』の主人公の、同じように困難に立ち向かおうとしている凛とした姿が、私には重なって見えた。
(もう少し印象に残る強いショットがあると尚よかったが、そこは個人の「好み」の領域なのかもしれない。)
Blake1757

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