イギリス社会の底辺層を描かせたら、ケンローチの右に出るものはいませんね。久々に、映画を見て涙が止まらなくなりました。
今度の舞台はイギリスの工業都市、ニューカッスル。
心臓病を発症し、仕事ができなくなった大工のダニエル・ブレイクは、面談時のイライラが爆発し障害者年金の審査に落ちてしまう。
その後、求職を続けることを条件に、失業手当をもらって生活することを余儀なくされたダニエルは、弱者に冷たいイギリス社会と、高度にデジタル化された複雑な福祉制度に憤りを覚え、反逆の一手に出る。
職業紹介所でシングルマザーのケイティと、その2人の子供と偶然出会ったことにより生きがいを見つけたダニエルは、次第に活力を取り戻し、楽しげな生活を送り始める。
あまりに冷酷なリアリティに胸が痛くなるシーンがたくさんあったけれど、それでも、ひたむきに生きる彼ら/彼女らの姿に心を打たれました。
金がなくったって、愛さえあれば命を繋いで生きていける。
家族や仲間を思う気持ち。
大切なものを、大切にすることの大切さ。
僕の涙は感動によるものなのか、それとも彼らへの同情から出たものなのか、それとも…
我が身を振り返り様々なことを想う…
間違いなく、2017年ベスト1に選びたい大傑作でした。