このレビューはネタバレを含みます
小さなコミュニティが幾層にも重なり合って複雑をきわめている人間関係のなかに埋め込まれた人生をうまく立ち回る難しさ。
警察署のシーンでは、正面玄関と裏口のウェイトが、同等か、なんなら後者のほうにあるように見え、オモテから入って出会う警官はわりあい感じがいいが、ウラにおるのは最悪で、なんやようわからん小姓まで入り浸ってピーナッツ食うとる(あの人たちマジで何なんだ?)。
次男が、自分を買ったおっさんに言う「頼み事なんかしたことないだろ」は重い。そりゃ、しなくていいならしたくない。
密告リレーに組み込まれたローサおばさんは、猜疑心なしに人々を見ることができなくなる。
ラストの屋台(ローサおばさんの店で売っていたものに似ている)を営む家族は、ごく幸せそうに見えるが、素朴に、後ろめたいところなく生きていこうとすると、今度は貧乏の泥沼に足をとられてしまう。
貧乏は難しい。