EDDIE

お嬢さんのEDDIEのレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
4.4
145分3部構成、荘厳なセットと衣装、そして役者陣の台詞による駆け引きやエロス、引き込まれどっぷりと浸かった。お嬢様を騙し巨額の富を手に入れようとする詐欺師たち。しかしそれだけでは終わらない見事な脚本に舌を巻く。いやぁ凄い映画を観てしまった。

〈ポイント〉
・主演2人の女優の掛け合いや撮影に引き込まれること間違いなし
・日本統治下の朝鮮と日本を舞台にした私欲に満ちたサスペンス
・想像を超えた展開の連続から目が離せない
・R18+ということでエロチックなシーンは随所に挟まれるがラストシーンの美しさは圧巻
・とにかく素直に騙されろ

〈雑感〉
実は私韓国映画が不得手です。
嫌いではないんですが、韓国語の音でしょうか。耳慣れないこともあり、全然物語が頭に入ってこないんです。
ただこの映画はとんでもない作品でした。

キャストはご覧の通り、ほぼ韓国人俳優で揃えられていますが、半々ぐらいで韓国語と日本語で展開されます。
というのも1939年の日本統治下の朝鮮半島を舞台にしており、朝鮮人にも日本語を話させるという時代。
だから、本作を観て日本語が拙いなんてツッコミはナンセンスです。それは不思議でもなんでもないんです。
だって、朝鮮人なんですから。

ただ本作の凄いところは脚本。
ビビりました。

主人公の1人スッキは孤児で、詐欺師集団に育てられた背景があります。
そんな彼女を侍女として、富豪の子女である秀子お嬢様のもとで働き、そして詐欺師の藤原伯爵が秀子と婚約して巨万の富を得ることを目的とします。
この潜入から実際に藤原伯爵が秀子と距離を縮めていく一連の流れだけでも臨場感ありまくりで、演出が上手すぎて一気に引き込まれます。
ですが、それで終わらないのがこの映画。

あの展開からあんな展開が待ってるなんて…驚愕の内容。

一つの愛の物語であり、略奪の物語であり、恨みの物語。
恥辱に塗れた女性性だけでなく、男性の愚かさや当時の女性が男性に支配されていたという厳かな内容を演出で魅せていきます。

これしかも原作の小説は舞台がイギリスなんですよね。
舞台を大きく朝鮮に変えても、これだけスリルある作品に昇華させているあたり、強烈でしょう。
『パラサイト』や『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞受賞やノミネートされる現代においては、この作品は脚色賞や国際長編映画賞あたりは堅いのではないでしょうか。
それだけの衝撃とエンタメとしての面白さをはらんでいました。

ちなみに本作は先月から始まったTwitterのスペースでの映画配信番組“めーぶれ”で、次回課題作としてフィーチャーされます。
6月12日(日)22時〜、Twitterのスペースにて開催される予定。
映画ブロガーやインフルエンサーたちが映画のことを面白おかしく語ります。
興味ある方はぜひ“#めーぶれ”で検索の上、配信を聴きましょう!笑

〈キャスト〉
スッキ/珠子(キム・テリ)
和泉秀子/お嬢様(キム・ミニ)
藤原伯爵(ハ・ジョンウ)
上月教明(チョ・ジヌン)
佐々木夫人(キム・ヘスク)
秀子の叔母(ムン・ソリ)
秀子の母親(高木りな)

※2022年自宅鑑賞104本目
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