アナクロ

お嬢さんのアナクロのレビュー・感想・評価

お嬢さん(2016年製作の映画)
5.0
人から愛を搾り出そうと、騙し盗ろうとする偽君子の末路がなんとも爽快だった。
のはちょっと奇を衒うつもりで言う。

全部良しなので箇条書きで:
原作の時代文化背景を完璧にアジアに移植した。
随処に伏線。
畳み掛ける騙し合いを純愛が覆す。
後ろに差し掛かるに連れ官能的に。
女性による陰道崇拝。
秀子は強かなのに臆病、無我夢中になった時にやっと私を見捨てないでという。
欲望のスイッチを押していったのはことごとく玉子、なんてかわいい。
玉子が覗き、次に秀子が覗き、カメラ、つまり視線で情欲が灯されていく過程を余さず見せられる、面白いのが、全編を通して、人が人を騙すと思っていたのが、情愛が計画を嘲笑うのが本当だったという。
最後ヒロイン達がかつて秀子が朗読した内容を楽しそうに実践しているシーンで、この映画は秀子の過去も、過剰なエロティシズムを否定したいわけではないと分かった、それが叙述の道具で、しかも魅力的で、この映画の最大の特徴である。

追記:もっというとエロティシズムを否定したいどころか、女性目線の可憐な儚い生々しい情愛をとてもいい形で捉えた映画だった。いいよね本当。
アナクロ

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